第5回 ガラスに穴をあける方法/工具があれば簡単
ガラス加工の中でも「ガラスに穴をあけたい」というニーズは特に多く、「水槽の蓋にポンプ管用の穴をあけたい」「窓にエアコンのダクトを通す穴をあけたい」「ガラス雑貨を作る為にガラス瓶やガラス管に小さな穴をあけたい」など、内容も様々です。
穴あけと言っても直径20センチぐらいの大きな穴から、直径3ミリ程度の小さい穴までサイズがいろいろあります。穴の大きさによって道具が違いますので、それぞれご紹介いたします。
ガラスの穴あけ5つの方法
穴をあけるサイズ別に使う工具
ルーター&ビット | ガラスドリル | ダイヤモンド コアドリル |
サークルカッター | プロ用サークルカッター | |
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穴のサイズ | 極小 1〜6ミリ |
小 3〜12ミリ |
中 10〜60ミリ |
大 45〜250ミリ |
特大 70〜600ミリ |
仕上がり | 凄く綺麗 ★★★★☆ |
綺麗 ★★★☆☆ |
綺麗 ★★★☆☆ |
普通 ★★☆☆☆ |
普通 ★★☆☆☆ |
スピード | 速い ★★★★☆ |
時間が掛る ★★☆☆☆ |
普通 ★★☆☆☆ |
時間が掛る ★★☆☆☆ |
時間が掛る ★★☆☆☆ |
難易度 | 簡単 ★★☆☆☆ |
普通 ★★★☆☆ |
普通 ★★☆☆☆ |
慣れるまで 難しい★★★★☆ |
慣れるまで 難しい★★★★☆ |
方法① ルーター&ビットを使ってガラスに穴をあける手順
ガラス穴あけ(ルーター&ビット) 難易度 |
★★☆☆☆ 簡単 |
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一番簡単で、最も失敗の少ないガラスの穴あけ方法です!
「ルーター(リューター)」と「ルータービット」という工具を使った穴あけで、穴の仕上がりもきれいです。 また、後述のガラスドリルに比べて穴をあけるスピードが速く、たくさん穴あけをされる方は、この方法が一番オススメです。 一般的には歯科医師が使う工具で、工具自体の振動が少なく、「穴を広げる」「長穴をあける」「ガラス瓶の穴あけ」の他にも、ガラス面のエッチングなど、精密な加工をすることが出来ます。
ルーターとルータービットであけることができる穴の径は、ビットの径の関係上φ1ミリ〜φ6ミリ程度の小さなです。穴を広げていくことも可能ですが、きれいな円形の穴をあけたい場合はオススメできません。またルーター本体がかなり高価であることも欠点です。
ガラス穴あけ(ルーター&ビット)について、分かりやすくご紹介した動画もご用意いたしましたので、そちらも合わせてご覧ください!
ガラスの穴あけに使う道具
ガラスの穴あけの流れ
- ルーターとビットを用意する
- 水をかけながらガラスに穴をあける
- ガラスの半分まで穴が空いたら裏返す
- ガラスの裏からも同じように穴あけする
- 円柱型のビットに交換する
- ガラスの穴あけ完了
1. ルーターとビットを用意する
ルーターに、アタッチメントと使用するビットを取り付けましょう。ビットは右に捻ると固定されます。
2. 水をかけながらガラスに穴をあける
それでは穴をあけていきましょう。ブレないよう、手でしっかりルーターを持ってください。また、摩擦で熱をもってガラスが割れてしまわないよう、穴あけ部分にスポイトで水をかけてください。
3. ガラスの半分まで穴が空いたら裏返す
だいたいガラスの半分辺りまで穴を開け終えたら、次はガラスを裏返します。
4. ガラスの裏からも同じように穴あけする
裏側から穴の中心を狙い、同じように穴あけします。今度は貫通するまで続けます。
5. 円柱型のビットに交換する
穴の側面を綺麗にするため、円柱型のビットに交換します。穴あけ時と同じように水をかけながら穴の側面をきれいに磨いていきましょう。
6. ガラスの穴あけ完了
このように、きれいな穴があきました。
ルーター&ビットでのガラスの穴あけのポイント
最初に選ぶビットは、穴あけしたい大きさより少し小さな、球型のビットが良いでしょう。後々円柱のビットで側面を磨いて穴を広げて行く方法が、失敗しづらくオススメです。また、冷却用の水は必ずかけてください。普通の水で問題ありません。冷却水をかけないと摩擦で熱をもち、ガラスが削れていかなかったり、欠けたりしてしまいます。またビットの摩耗も早くなってしまいます。
1、2度は「練習用のガラス」で穴あけ作業に慣れておくことで、感覚を掴めるかと思います。
ガラスの穴あけに使った商品
方法② ガラスドリルを使ってガラスに穴をあける手順
ガラスドリルで穴あけの 難易度 |
★★★☆☆ 普通 |
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3ミリ~12ミリの小さな穴をあける場合は、ガラスドリルを使用します。ガラスドリルで穴をあける際の注意点は「急がない!」ということです。
ガラスの穴あけの流れ
- ガラスドリルを用意する
- ガイドを使用してガラスに印をつける
- 水をかけながらガラスに穴をあける
- ガラスの穴あけ完了
1. ガラスドリルを用意する
小さい穴あけはガラスドリルを使用します。はじめに電動ドリルにセットしましょう。
2. ガイドを使用してガラスに印をつける
最初は小さな穴のあるガイドを使いガラスに傷(印)を付けます。少しの穴があけばドリルの先が滑ることはありませんので、ガイドを外します。
3. 水をかけながらガラスに穴をあける
水をかけながら(冷却しながら)低速で急がず穴あけします。下の土台は穴があいてもいい木の板などにしてください。
4. ガラスの穴あけ完了
小さな穴あけの完了です!
ガラスドリルでの小さい穴あけのポイント
ガラスドリルで穴をあける時のポイントですが、まずいきなりガラスにドリルをあててもガラスの表面がすべり、思った位置からずれてしまいます。なんでもいいので、小さな穴のあいたガイドを作り、穴をあけたい位置にドリルで傷を付けてください。
少し削れば、すべってズレたりすることは無いので、あとは簡単に穴をあけることができます。
ただし、急がないでください。木や鉄に穴をあける場合と違い、ガラスは割れの危険がありますので、上から力をかけないようにしてください。動画ではカットされていますが、実際は結構時間のかかる作業です。あわてずゆっくりと、必ず水で冷却しながら作業してください!
ガラスの穴あけに使った商品
方法③ ダイヤモンドコアドリルを使ってガラスに穴をあける手順
ダイヤモンドコアドリルで穴あけの 難易度 |
★★★☆☆ 超普通 |
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10ミリ以上の大きな穴をあける場合はダイヤモンドコアドリルを使います。なぜダイヤモンドコアドリルを使うのかよく聞かれますが、大きなガラスドリルがない・・・理由はただそれだけです!
ダイヤモンドコアドリルは、まっすぐに電動ドリルを持たないといけない分、ガラスドリルの穴あけよりも若干難易度が高いです。
ガラスの穴あけに使う道具
ガラスの穴あけの流れ
- 専用ガイドを吸盤で固定する
- 電動ドリルにダイヤモンドコアドリルを装着する
- ダイヤモンドコアドリルのサイズにガイドを合わせる
- ガラスの穴あけ完了
1. 専用ガイドを吸盤で固定する
中ぐらいの穴(10ミリ~60ミリ)を開けたい時にダイヤモンドコアドリルを使用します。まずは、ガラスに専用ガイドを吸盤で固定します。
2. 電動ドリルにダイヤモンドコアドリルを装着する
電動ドリルにダイヤモンドコアドリルを装着します。ガイドはスライドするのでいろんなサイズに対応出来ます。
3. ダイヤモンドコアドリルのサイズにガイドを合わせる
使うダイヤモンドコアドリルのサイズにガイドを合わせます。冷却のために水をかけながら低速で穴あけをあけていきます。
4. ガラスの穴あけ完了
ガイドのおかげでこの通り簡単に穴があきました!
小さいダイヤモンドコアドリル用のガイドもあります
小さいコアドリルはこちらの吸盤を使用します。同じように冷却水は必ずおかけください!
ドリルの経にピッタリの穴(ガイド)を使用して簡単に穴があきました。
コアドリルでのガラスの穴あけのポイント
ダイヤモンドコアドリルで穴あけする際に一番大切なことは、電動ドリルをまっすぐに持つということです。斜めに穴あけすると最後が半円残りますので、まっすぐに持って下さい。電動ドリルスタンドを使うとまっすぐに穴あけが出来ます。また、冷却水は必ずかけてください。普通の水で十分です。冷却水をかけないとガラスが熱をもち割れてしまいます。しつこいようですが必ずおかけください。
1、2度は「練習用のガラス」で穴あけ作業に慣れておくことで、感覚を掴めるかと思います。
ガラスの穴あけに使った商品
方法④ サークルカッターを使ってガラスに穴をあける手順
サークルカッターで穴あけの 難易度 |
★★★★☆ やや難しい |
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大きな穴をあける場合は、ガラスドリルやコアドリルは使いません。ガラスサークルカッターという、円形にカットするガラスカッターを使います。 サークルカッターは2種類あり、安い方はφ100ミリ~φ240ミリ、プロ用はφ90ミリ~φ600ミリの穴をあけることが出来ます。
ガラスの穴あけの流れ
- マジックでガラスに印を付ける
- 円形にガラスをカットする
- 一回り小さい円をつくってカットする
- カッターの先端を横向きに付け替える
- 円の中を格子状にカットする
- ガラスを砕いて取り除く
- 内側の円と外側の円の間にカッターで傷をつける
- ガラスを取り除く
- ガラスの穴あけ完了
1. マジックでガラスに印を付ける
まず穴あけする位置の中心にマジックで印を付けます。カットする位置にあらかじめカッティングオイルを塗ります。
2. 円形にガラスをカットする
中心をしっかりもって円形にガラスをカットします。裏側から豆ハンマーで叩き亀裂をしっかり入れます。
3. 一回り小さい円をつくってカットする
ひと回り小さい円を同じようにカットします。内側の円も裏側から叩いてしっかり亀裂をいれてください。
4. カッターの先端を横向きに付け替える
カッターの先端を回し外して横向きに付け替えます。カッティングオイルをガラスに沢山塗ります。
5. 円の中を格子状にカットする
通常のガラスカッターのように使い格子状にカットします。こんな状態で書いた二つの円を超えないでください。
6. ガラスを砕いて取り除く
豆ハンマーで裏側から叩き格子状のガラスにヒビを入れます。ある程度叩いて、中心を貫通させたら、あいた穴からやっとこを使ってガラスを砕いていきます。
7. 内側の円と外側の円の間にカッターで傷をつける
内側の円と外側の円の間に12本ほどカッターで傷を付けます。外側の円を超えないように注意してください。
8. ガラスを取り除く
豆ハンマーで1ヶ所を貫通させ、やっとこを使い、残りのガラスをはずしていきます。
9. ガラスの穴あけ完了
これで穴あけの完了です。
「プロ用吸盤」でさらに大きな穴あけもできる
プロ用は吸盤がしっかりしていてさらに大きな穴も開けられます。
サークルカッターでのガラスの穴あけのポイント
-
亀裂をしっかり入れる
ガラスはまっすぐ割れる習性があります。内側の穴は割れるのをそこで食い止める役割があります。亀裂をしっかり入れておかないと、このラインでは割れが止まらず、失敗してしまいます。内側も外側もしっかり亀裂を入れておくことが大切です。 -
ガラスを砕く際は、必ずやっとこを使う
また、やっとこでガラスを砕くのですが、ペンチでやると失敗します。ペンチはガラスをつかめず、ガラスの角だけが砕けます。 -
出来るだけ先のとがったもの(豆ハンマー)で亀裂を入れる
豆ハンマーはガラス穴あけ専用に作られた、先のとがったハンマーです。 先がとがっていないと、叩いた時に、ガラス全体に力が掛かり、ガラスが2つに割れてしまいます。 先のとがった「豆ハンマー」を使うことをお勧めします。 -
頻繁に穴あけの予定がある人はプロ用を使う
プロ用のサークルカッターは吸盤がしっかりしていて、カットする時に位置がズレてしまうことがありません。さらに目盛がついている為、いちいち定規で測らなくても自分の思うサイズに穴あけが出来ます。今後、頻繁にガラスに穴あけをされる予定のある方は、「ガラスサークルカッターPRO」を使うことをお勧めいたします。
ガラスの穴あけに使った商品
方法⑤ プロ用サークルカッターを使ってガラスに穴をあける手順
プロ用のガラスサークルカッターで穴あけの 難易度 |
★★★★☆ やや難しい |
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より大きな穴や頻繁に穴をあける場合は、プロ用のガラスサークルカッター「ガラスサークルカッターPRO」がオススメです。
プロ用を使用すればφ90ミリ~φ600ミリのサイズの穴をガラス板にあけることが出来ます。
ガラスの穴あけに使う道具
ガラスの穴あけの流れ
- サークルカッターをガラスに固定する
- ガラスをカットする
- 円の内側を同じようにカットする
- カッターの先端を取り外す
- ガラスの裏から亀裂を入れる
- やっとこでガラスを砕く
- 円の間を5ヶ所カットする
- やっとこで残りのガラスを取り除く
- ガラスの穴あけ完了
1. サークルカッターをガラスに固定する
サークルカッターをガラスに固定し、カッターを一周させながらカッティングオイルをつけます。
2. ガラスをカットする
カッターの刃を押し付けるようにガラスをカットします。ガラスに傷がついたら、裏から豆ハンマーで叩き、全周に亀裂を入れます。
3. 円の内側を同じようにカットする
最初にカットした円より内側を同じように円形にカットします。内側の円にもしっかりと亀裂を入れます。
4. カッターの先端を取り外す
「直線カット」をするためにカッターの先端を取り外します。小さい円の内側を格子状にカットしていきます。
5. ガラスの裏から亀裂を入れる
画像のように斜め(ひし形)にカットしたほうが、後で楽です。ひし形状にカットできたら、裏から叩き全体に亀裂を入れます。
6. やっとこでガラスを砕く
中央部分をしっかり叩き穴を開け、穴を広げるようにヤットコでガラスを砕いていきます。内側の円まで全て取り除きます。
7. 円の間を5ヶ所カットする
カッターの先端で、2つの円の間を5ヶ所カットします。外側の円を超えないように注意してください。
8. やっとこで残りのガラスを取り除く
残りのガラスをやっとこで砕いていきます。外側の円まで全て取り除きましょう。
9. ガラスの穴あけ完了
最後に手を切らないように砥石で切断面を磨いたら、穴あけの完了です。
プロ用サークルカッターでのガラスの穴あけのポイント
-
亀裂をしっかり入れる
ガラスはまっすぐ割れる習性があります。内側の穴は割れるのをそこで食い止める役割があります。亀裂をしっかり入れておかないと、このラインでは割れが止まらず、失敗してしまいます。内側も外側もしっかり亀裂を入れておくことが大切です。 -
ガラスを砕く際は、必ずやっとこを使う
また、やっとこでガラスを砕くのですが、ペンチでやると失敗します。ペンチはガラスをつかめず、ガラスの角だけが砕けます。 -
出来るだけ先のとがったもの(豆ハンマー)で亀裂を入れる
豆ハンマーはガラス穴あけ専用に作られた、先のとがったハンマーです。 先がとがっていないと、叩いた時に、ガラス全体に力が掛かり、ガラスが2つに割れてしまいます。 先のとがった「豆ハンマー」を使うことをお勧めします。